移籍先はサンパウロ州3部リーグ所属のチームになった。
クラブについて初めに驚いたのは知ってる選手が沢山いたこと・・・
何をかくそう以前俺が解雇されたクラブの姉妹チームだった事。
ふとみるとその中に嬉しい顔をみつけた。
ジュリオ・セザール。俺より歳は2つ若いから16歳。しかし、プロ選手として活躍中の右のウイングのプレーヤーだ。
あだ名は「ガウショ」。ブラジルの最南端のヒオ・グランジ・ド・スウ州出身で日本でも有名な「グレミオ」がある州。ロナウジーニョ・ガウショはその名の通りこの州の出身である。
お互いの再会を素直に喜んだ。同時にプロになる事を強く、強く誓った。
初練習。自己紹介をする間もなくチームにとけこむ事ができた。知り合いが多いと気分的に楽だったが、皆ライバル、気をひきしめた。
仲間達のプレーはある程度理解していた、残るは監督へのアピール。仲間達も監督に俺をアピールしてくれた。嬉しかった。
紅白戦、地元チームとの練習試合でもうまくアピールできた。監督の笑顔もたえない。
パウロも今回は家族の元を離れ、俺の為に近くのホテルに長期滞在を決心してくれた。彼も同時に今回に賭ける想いは強いようだ。毎日のように結果を残す事、とにかく結果だと言われ続けた・・・
俺もパウロの気持ちに答えようと必死だった。
そんなテスト期間も2週目に入った頃2戦目の練習試合が行われた。後半30分まで1点相手がリード。
そんな中監督に呼ばれた。監督が一言・・・
「1点がほしい」
182a、68`。サッカー選手としては細い。けれど俺の武器はこれしかない。ユニフォームが少し大きい・・・
俺は左足に願いをこめた。スタンドを振り返ったらパウロが呼んでいる。彼はいった。
「結果が必要だ。お前ならできる」
俺はボランチの位置に入る。同時に野次も凄かった。でも気にならなかった。集中。始まってすぐスルーパスをだす。ゴールにはならなかったものの体は軽いし、ゴールが近く見えた。調子がいい証拠。いける。
仲間達も俺に結果が必要な事を理解していた。俺にボールを集める。
その時、俺の前にスペースが空いた。最後の賭け・・・俺は迷わず左足を振りぬいた。
無回転のボールはキーパーの逆をつきゴールにつきささった・・・
我ながら豪快なひと蹴りだった・・・今もその感触は覚えている。
試合は引き分け。しかし結果は残せたと思う。
仲間達は俺以上に喜んでくれた。そして監督も・・・
2日後俺はパウロとクラブハウスにいた。
ブラジルに来て半年。
日本から来た無名のサッカー選手はプロになった・・・
俺は高鳴る興奮を抑え、静かにサインをした。
















