2008年05月27日

結果

 ミナス州での生活は忘れられない一生の思い出となった。ブラジル人の人間のデカさを肌で感じることができた。

 移籍先はサンパウロ州3部リーグ所属のチームになった。

 クラブについて初めに驚いたのは知ってる選手が沢山いたこと・・・
 何をかくそう以前俺が解雇されたクラブの姉妹チームだった事。

 ふとみるとその中に嬉しい顔をみつけた。
 ジュリオ・セザール。俺より歳は2つ若いから16歳。しかし、プロ選手として活躍中の右のウイングのプレーヤーだ。
 あだ名は「ガウショ」。ブラジルの最南端のヒオ・グランジ・ド・スウ州出身で日本でも有名な「グレミオ」がある州。ロナウジーニョ・ガウショはその名の通りこの州の出身である。

 お互いの再会を素直に喜んだ。同時にプロになる事を強く、強く誓った。

 初練習。自己紹介をする間もなくチームにとけこむ事ができた。知り合いが多いと気分的に楽だったが、皆ライバル、気をひきしめた。

 仲間達のプレーはある程度理解していた、残るは監督へのアピール。仲間達も監督に俺をアピールしてくれた。嬉しかった。

 紅白戦、地元チームとの練習試合でもうまくアピールできた。監督の笑顔もたえない。

 パウロも今回は家族の元を離れ、俺の為に近くのホテルに長期滞在を決心してくれた。彼も同時に今回に賭ける想いは強いようだ。毎日のように結果を残す事、とにかく結果だと言われ続けた・・・

 俺もパウロの気持ちに答えようと必死だった。

 そんなテスト期間も2週目に入った頃2戦目の練習試合が行われた。後半30分まで1点相手がリード。
 そんな中監督に呼ばれた。監督が一言・・・

 「1点がほしい」

 182a、68`。サッカー選手としては細い。けれど俺の武器はこれしかない。ユニフォームが少し大きい・・・
 俺は左足に願いをこめた。スタンドを振り返ったらパウロが呼んでいる。彼はいった。

 「結果が必要だ。お前ならできる」

 俺はボランチの位置に入る。同時に野次も凄かった。でも気にならなかった。集中。始まってすぐスルーパスをだす。ゴールにはならなかったものの体は軽いし、ゴールが近く見えた。調子がいい証拠。いける。

 仲間達も俺に結果が必要な事を理解していた。俺にボールを集める。

 その時、俺の前にスペースが空いた。最後の賭け・・・俺は迷わず左足を振りぬいた。

 無回転のボールはキーパーの逆をつきゴールにつきささった・・・
 我ながら豪快なひと蹴りだった・・・今もその感触は覚えている。

 試合は引き分け。しかし結果は残せたと思う。
 仲間達は俺以上に喜んでくれた。そして監督も・・・

 2日後俺はパウロとクラブハウスにいた。

 ブラジルに来て半年。

 日本から来た無名のサッカー選手はプロになった・・・

 俺は高鳴る興奮を抑え、静かにサインをした。


 

 
posted by ふみーにょ at 21:23| Comment(1) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
感動です。
Posted by サッカーマン at 2008年05月29日 04:26
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